情緒が基準で

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24の日記と生活

『燃ゆる女の肖像』を見てまっすぐ家に帰れなかった休日

このままだと永遠に韓国ドラマだけ見る人間になってしまうと思ったので、毎週金曜か土曜に1本映画を見ることにしました。映画館にもいこうと思う。特に良かった映画logも残したく、第一回目は年末滑り込みで観た『燃ゆる女の肖像』です。

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『燃ゆる女の肖像』

口コミ評価が高くて気になってたところ友人がストーリーに載せてて見たとのことで観に行ってきた、ら、とんでもない映画だったアアアア!衝撃だった。今まで見たどんな映画よりも美しくて、絵画を見ているよう。なんだこれ、ずっとどこかの美術館にいる感じ。どのシーンを切り取っても完璧で綺麗で美しくて、ずっと目を奪われ続ける120分の映画。その美しさを表現するためか使われている音楽は2曲でなんと3箇所のみ。あとはセリフと波の音と炎の音。出演者も少ないし、回想シーン含めても舞台もそんなに多くない、長いセリフがあるわけでもなく、映画全体を出来る限りシンプルにして、無駄な余白などを削ぎ落とした結果の静かな美しさと思う。


ラストの解釈は人それぞれなんだけど、個人的な解釈は「気付いていたけれど、元に戻れなくなりそうで必死に耐えた。でも呼ばれたら振り返ったかもしれない」です。

映画館で見終わったあと、どこにも行きたくなくて、この余韻を全て抱えて自分の中に落とし込みたくて、新宿の喫茶店に入りコーヒーを飲みました。飲みながら落ち着かせた。落ち着いたらお腹空いてきてちゃっかりオムライスまで食べる。

 

ちょうど『新聞記者』ももう一度見たんだけどラストがちょっと似てる。役者の表情だけで語らせるラストは自由に解釈してほしい、これ以上は蛇足である、などだと思うけど、その余白と受け取る側に自由さがあって好き。見終えた後、完璧なラストであれば引きずることなくそのまま自分の中で終わっていくけれど、余白があるとずっと考え込んでしまう。そんな「想像してください系」ラストは本でもドラマでも映画でもなんでも好きだなと再認識した。

 

観たのは年末なんだけど未だに思い出しては綺麗で飲み込まれそうな海と少し不気味に思えた民謡音楽と、印象的だった炎に浸っている。。。何もなかったような2020年の終わりにこの映画を見れたことが心底幸せだなと思えるほどでした。こういう映画にあと何回出会えるんだろうね...

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